化学大手の独BASFは19日、2023年12月期の純利益などがアナリスト予測を大幅に下回る見通しを明らかにした。エネルギー価格などの高騰に伴うコスト膨張と世界経済の低迷を受けた需要不振のダブルパンチが響いた格好だ。
純利益は2億2,500万ユーロとなり、アナリスト予想平均(22億4,700万ユーロ)の10分の1にとどまる。前期の赤字(6億2,700万ユーロ)からは改善するものの、比較対象の22年12月期はロシア関連の資産を持つ天然ガス・石油子会社ヴィンタースハル・デーエーアーへの出資で約73億ユーロの巨額評価損を計上していたという事情があった。23年12月期は中核事業の化学で業績が大幅に悪化したことがうかがわれる。
営業利益(EBIT)は22億4,000万ユーロとなり、アナリスト予想平均(36億9,100万ユーロ)を39%下回る。前期に比べると66%少ない。表面技術、農業ソリューション、マテリアルズを中心に評価損11億ユーロを計上することが響く。
特別項目を除いたEBITも前期比45%減の38億600万ユーロに落ち込む見通しだ。売上減少に伴い収益力が低下。固定費を圧縮したが相殺できなかった。
売上高は21%減って689億200万ユーロとなる。アナリスト予想平均(705億7,900万ユーロ)と10月に提示した自社予測(730億〜760億ユーロ)をともに下回る。
経営陣は業績改善に向け10月末、コスト削減の強化方針を打ち出した。固定費を26年末までに約10億ユーロ引き下げる意向だ。