半導体不足再来の懸念、NXP役員が警鐘

蘭半導体大手NXPのラース・レーガー取締役(技術担当、独事業統括責任者)は18日、ハンブルク経済記者クラブで講演し、コロナ禍時に発生した半導体の供給不足が再び起こる恐れがあると警鐘を鳴らした。キャッシュフローを改善するため在庫を減らす大口顧客が増えているためだ。在庫の底が見えてきた自動車その他の業界のメーカーが短期間での納入を求めても、半導体メーカーは対応しきれない可能性があるとしている。

レーガー氏はその一方で、サプライチェーンは数年前に比べレジリエンスが高まっていることも明らかにした。NXPは独自動車工業会(VDA)と協業し、半導体需要予測を高精度で予測するシステムを構築したという。

自動車業界ではコロナ禍時の反省を受け、完成車メーカーが半導体を製造元から直接、調達する動きが強まった。完成車メーカーは供給不足を回避するため、半導体を複数の大陸に分散して製造するよう要求する。同氏はこれについて、そうした要求を出す企業は分散製造に伴い膨らむコストを負担しなければならないと強調した。

欧州連合(EU)が域内の半導体製造能力増強に取り組んでいることに絡んでは、欧州はレジリエンスを高めることはできるが、自給自足体制の構築は不可能だと明言した。その実現には7,000億〜9,000億ユーロの巨額投資が必要なうえ、欧州にはそもそもノウハウと人材が不足しているためだと指摘。半導体の生産は将来も国際協業が必要不可欠だとの認識を示した。

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