ヒートポンプ販売が今年は大幅減少の見通し

独ヒートポンプ業界団体BWPは22日、ヒートポンプ暖房の国内販売台数が今年は前年を27%下回る約26万台に落ち込む見通しを明らかにした。再生可能エネルギー使用比率65%以上の暖房設置を2024年から義務付ける政府方針が緩和され、新興住宅地の新築住宅以外は自治体の地域熱網敷設計画が策定されるまで免除されたことを受け、多くの世帯が暖房交換を見合わせていることが響く。電力料金が天然ガスに比べ割高なことも大きい。

政府は昨春、再生エネの使用比率が65%未満の暖房の設置を24年1月以降、原則的に禁止する法改正案を閣議決定した。だが、与党内や市民から批判が出たことから、内容を一部修正。自治体が地域熱網敷設計画を策定するまでは基本的に猶予することにした。同敷設計画は人口10万人以上の大都市で26年6月末、10万人未満の都市・村で28年6月末までに策定される。

この政策変更を受け、ヒートポンプ暖房の需要にブレーキがかかっている。昨年の販売台数は前年比51%増の35万6,000台となり、2年連続で50%以上の伸びを記録したものの、第4四半期に急減速。12月は前年同月を40%以上、下回った。

世帯向け電力料金は1キロワット時当たり平均46セント(23年)に上る。天然ガスは同14セントにとどまることから、電力を用いるヒートポンプ暖房には現時点で割高感が付きまとう。

政府はヒートポンプ暖房の国内販売台数を年50万台に拡大することを目指している。ヒートポンプ業界はこれを受け、生産・設置能力を拡大しており、同能力を今年中にも50万台へと引き上げられる見通しだ。

だが、現状では販売低迷が予想されることから、業界は過剰能力を抱え込むことになる。BWPはこれを受け、ヒートポンプ暖房に使用される電力の税・賦課・分担金負担を軽減するとともに、天然ガス価格を引き上げる政策を政府に要求した。

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