商用車大手の独ダイムラー・トラックは25日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ未来エネルギー公社(マスダール)とグリーン水素輸送に関する趣意書を締結したと発表した。再生可能エネルギー電力で製造された液体水素をUAEから欧州に輸送する可能性を模索する。欧州のトラック輸送で排出される二酸化炭素(CO2)の量を削減する大きなポテンシャルがあるとしている。
ダイムラー・トラックは欧州と日本、北米で販売する車両を2039年までにすべて炭素中立車とする計画。その実現に向け電気自動車(BEV)のほか、水素燃料電池車(FCV)を活用する戦略を打ち出している。
FCVの実用化に向けてはプロトタイプ「GenH2トラック」を用いた走行試験を23年9月に実施した。西南ドイツのヴェルト・アム・ラインにあるメルセデスベンツ・トラック顧客センターを25日午後に出発。26日朝に首都ベルリンに到着した。走行距離は1,047キロに上る。走行条件をリアルなものにするため、荷物をフルに積み車両総重量を40トンとして試験を行った。今年半ばからはGenH2トラックの実用テストを顧客企業が行う予定だ。
UAEは31年までに低炭素水素の主要生産国になることを目指している。マスダールのモハメッド・ジャミール・アル・ラマヒ最高経営責任者(CEO)は、「輸送セクターはグリーン水素の最も重要な戦略市場の1つだ」と述べ、欧州向け輸出の実現に意欲を示した。