ソーラーウエハーのネクスウエーフが米に工場

ソーラーウエハー開発・製造のスタートアップ企業である独ネクスウエーフは25日、米国にギガファクトリーを設置すると発表した。米国ではインフレ抑制法(IRA)を追い風に需要が急速に増えていることから、現地生産に踏み切る。

ネクスウエーフはフラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所(ISE)からのスピンオフとして2015年に設立された。ソーラーウエハーの生産で用いるエネルギーと二酸化炭素(CO2)排出量を従来品に比べともに70%削減する技術を持つ。エネルギーの使用量が少ないことから生産コストも30%低い。また、原料の多結晶シリコンを内製することから、同原料価格が高騰してもコストが膨らまないという強みを持つ。

太陽光発電の分野では多結晶シリコンからウエハー、セル、モジュールに至る全バリューチェーンで中国メーカーが圧倒的なシェアを持っている。欧米では地政学リスクなどを背景に中国依存の引き下げが喫緊の課題となっていることから、同社製品に対する潜在的なニーズは大きい。

米国には年産能力6ギガワット(GW)の工場を建設する。すでに現地法人を設立した。今後は立地を選定していく。

同国の太陽電池新設規模は昨年33GWに達した。28年まで年率14%の成長が見込まれている。

ネクスウエーフは米工場の設置に先立って、独東部のビターフェルトに同社初の商業生産施設を建設する。生産能力は当初250メガワット(MW)。最終的には3GWに引き上げる考え。25年の操業開始を予定している。

ダヴォール・スティジャ社長は経済紙『ハンデルスブラット』に、ビターフェルト工場の建設と並行して進める米国進出は、サプライチェーンの多様化に貢献すると述べた。

欧州の太陽電池製造業界は安価な中国製品の流入で厳しい状況に立たされており、ノルウェー同業のノルウェジアン・クリスタルは経営破たんした。スイスのマイヤー・ブルガーは、政府が適切な対策を取られなければ独モジュール工場を閉鎖するとしている。独工場建設を計画通りに推進するネクスウエーフは例外的な存在だ。

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