イエメンを拠点とする武装組織フーシ派が紅海で船舶を攻撃していることを受け、航空便を活用する企業が増えている。26日付『ハンデルスブラット』紙が報じたもので、航空貨物大手ルフトハンザ・カーゴの広報担当者は、特にアジアから欧州に向けた輸送が増えていると回答した。自動車部品が多いという。
自動車大手の仏ステランティスは暫定措置として部品の空輸を行っている。独フォルクスワーゲン(VW)もサプライチェーンの寸断を回避するため、一部の部品を航空便での輸送に切り替えたもようだ。
空輸は他の業界にも広がる可能性がある。独化学大手エボニックの広報担当者は航空便を選択肢として視野に入れいていることを明らかにした。
航空貨物情報調査会社ワールドACDによると、アジア太平洋から欧州への1月第1・2週の航空貨物輸送量は12月末に比べ12%増えた。
空輸は海運に比べ料金が大幅に高い。それにもかかわらず航空便に切り替えるのは、生産がストップするとコストが一段と膨らむためだ。自動車業界では生産停止に伴い発生するコストが1分当たり最大2万ユーロに達するという。
航空料金は今のところ上がっていない。1月第2週は1キロ当たり2.34ドルで、前週(2.37ドル)をやや下回った。航空貨物の輸送能力が実需を約25%上回っていることが背景にある。紅海紛争が長期化すれば料金は大きく上がる可能性があるものの、サプライチェーンのひっ迫が深刻だったコロナ禍時のような状況にはならないとみられている。