ノバルティスがバイオ医薬品開発のモルフォシス買収

スイス製薬大手ノバルティスは5日、バイオ医薬品開発の独モルフォシスを買収する
ことで合意したと発表した。主力製品の特許が今後、失効することを見据え、パイプ
ラインを拡充する狙いだ。
モルフォシスを株式公開買い付け(TOB)で買収する。1株当たりの買い取り価格は現
金68ユーロ。これは買収観測が浮上する前日(1月25日)の終値を89%、同3月間の加
重平均株価を142%上回る水準で、同社を27億ユーロと評価したことになる。65%以
上の株式確保をTOBの成立条件としている。当局の承認を経て買収手続きが上半期中
に完了すると予想。買収後はモルフォシスの上場を廃止する意向だ。
モルフォシスは1992年の設立。骨髄線維症(希少な骨髄がん)治療薬「ペラブレシ
ブ」の治験を終了しており、年央までに米国と欧州での認可申請を目指している。同
薬は他のがんにも投入できる可能性があり、ブロックバスター(年商10億ドル以上の
医薬品)の候補と目されている。モルフォシスはノバルティスに買収されることで、
開発や市場投入の資金を確保しやすくなる。
モルフォシスは同日、同社唯一の製品である「タファシタマブ」の世界独占販売権を
協業先の米インサイトに2,500万ドルで譲渡することを明らかにした。タファシタマ
ブは従来の標準的な治療法が効かない約40%の悪性リンパ腫患者を対象とする医薬
品。当初はモルフォシスが単独開発していたが、インサイトとの共同開発に切り替
え、上市に成功した。これまでは米国で共同販売し、それ以外の国ではインサイトが
一手に販売を引き受けてきた。

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