スイスの製薬大手ロシュが今後3年間の対独投資額を計10億ユーロ上乗せする意向
だ。ドイツ政府が製薬業界の環境改善に取り組み始めたことを受けたもので、独事業
の役員は6日、「政策に対する信頼の前渡金だ」と明言した。過去10年間の独投資
(年平均5億5,000万ユーロ)をもとに計算すると、上乗せ率は60%に上る。
ドイツ政府は昨年12月、製薬業界の代表と協議するとともに、「国家医薬品戦略」を
閣議了承した。医薬品の分野で産業立地競争力を高める狙いで、治験許可手続きの簡
素・短縮化や、電子カルテの情報やがんデータバンクのデータを医薬品や治療法の開
発、研究のために利用しやすくすることを目指している。
こうした姿勢が評価されたためか、製薬大手の米イーライリリーは昨年11月、25億ド
ルを投じて同社初のドイツ工場を建設すると発表した。
ロシュが同日発表した2023年12月期のドイツ事業の売上高は83億ユーロとなり、前期
を2.4%上回った。ロシュの連結売上が7%落ち込むなかで増収を確保した。