エネルギー大手のユニパーは7日、ドイツ北部の岩塩空洞を水素貯蔵施設として利用
する計画を進めていると発表した。水素経済が今後、本格化することを見据えたも
の。水素を大量に貯蔵することで安定供給に寄与するとしている。まずは2030年から
少なくとも250ギガワット時(GWh)、多ければ600GWhの貯蔵容量を顧客に提供してい
く。
国内に設置される水素中核輸送網の沿線に貯蔵施設を確保する。対象となるのはニー
ダーザクセンとノルトライン・ヴェストファーレンの2州。既存の天然ガス貯蔵施設
のほか、新たな施設を開発する。
同社はすでに北海に面したクルムヘルンでは「ハイドロジェン・パイロット・カ
ヴァーン(HPC)」というパイロットプロジェクトを進めている。その成果を踏まえ
25年以降に商業化の準備に着手。29年第3四半期に運営を開始する方向だ。投資額は
約2億ユーロを見込む。貯蔵能力は250GWhで、将来の拡大を視野に入れている。
ユニパーは他の岩塩空洞も貯蔵施設化する考えで、条件が整えば30年に600GWh体制を
構築する。実需を探るため潜在的な顧客と3月末まで協議を行う。
ホルガー・クレーツ最高執行責任者(COO)は、採算が取れることが水素貯蔵施設の
商業化投資の前提になると指摘。政府に対し「安定的な規制・助成の枠組み」を整え
るよう要請した。
同社は独南部でも水素貯蔵事業を行う意向で、現在「ハイストレージ
(HyStorage)」という研究プロジェクトを進めている。多孔質岩石層を利用した既
存の天然ガス貯蔵が水素貯蔵に適しているかどうかを調査する。