独電機大手シーメンスの株主総会が8日、開催された。同日に発表した2023年10-12
月期(第1四半期)決算は好調だったものの、株主の間からは、つながる工場など
を手がけるデジタルインダストリーズ(DI)部門とスマートインフラストラク
チャー(SI)部門に経営資源を絞り込み、相乗効果が低い鉄道技術(モビリティ)
部門と医療機器(ヘルシニアーズ)部門を分離するよう求める声が相次いだ。『フ
ランクフルター・アルゲマイネ』紙などが報じた。
貯蓄銀行系投資会社Dekaインベストメントのインゴ・シュパイヒ氏(持続可能性・
ガバナンス担当)は、シーメンスの株価は昨年20%上昇したものの、時価総額は仏
競業シュナイダーエレクトリックをなお30%も下回っていると指摘。「シーメンス
は依然として(組織が)極めて複雑であり、簡素化されなければならない」と明言
した。相互関連の薄い事業を展開する複合企業は株式市場で評価が低く、時価総額
が押し下げられるという事情が背景にある。株式を運用する金融機関にとっては看
過できない問題で、ドイツ銀行系資産運用会社DWSのファンドマネージャーも事業
の絞り込みを要求した。
第1四半期の産業分野(中核4部門)の税引き前利益は前年同期比3%増の27億2,300
万ユーロとなり、過去最高を更新した。SIが26%増の8億8,500万ユーロ、モビリ
ティが29%増の2億5,100万ユーロ、ヘルシニアーズが9%増の6億9,200万ユーロに
拡大。DIは20%減の8億9,500万ユーロに落ち込んだ。
産業分野の売上高税引き前利益率は15.8%で、前期を0.1ポイント上回った。DIは
19.6%、SIも18.3%と平均を上回っている。これに対しヘルシニアーズは13.4%、
モビリティは9.3%にとどまった。
シーメンス全体の業績は売上高が2%増の184億1,200万ユーロ、税引き前利益が
47%増の32億5,900万ユーロ、純利益が62%増の23億8,900万ユーロだった。
新規受注高は1%減の222億9,800万ユーロ。中国経済の低迷が響きDIが33%減と
なったのに対し、モビリティは脱炭素を背景とする電車需要の拡大が追い風となり
90%増えた。