BASFが中国合弁2社から撤退へ、ウイグル問題受け売却手続き加速

化学大手のBASFは9日、中国同業の新疆美克化工(Xinjiang Markor Chemical
Industry)と共同で現地展開する合弁会社2社から撤退すると発表した。両合弁で
生産する1,4-ブタンジオール(BDO)と川下製品ポリテトラヒドロフラン
(PolyTHF)の世界市場が供給過剰に陥っていることを受けた措置。中国のウイグ
ル人弾圧政策に新疆美克化工の社員が加担していたとすることが最近、報じられた
ことを踏まえ、売却手続きを加速することも明らかにした。
BASFは2013年、新疆美克化工と新疆ウイグル自治区のコルラに合弁2社を設立し、
15年からPolyTHFとBDOの生産を開始することで合意した。当時は需要が旺盛だっ
た。
現在は過剰生産能力を背景に競争が激化していることから、BASFはBDO事業の見直
しに着手。カーボンフットプリントが高い両合弁の持ち株売却手続きを23年第4四
半期に開始した。
そうしたなか、新疆美克化工の社員が出張名目の旅行でウイグル人へのスパイ活動
を行っていたとする独公共放送ZDFと週刊誌『シュピーゲル』のレポートが報じら
れた。BASFは9日の声明で、両合弁会社の社員がスパイ活動に関与した形跡はない
としながらも、新疆美克化工の社員が行ったとされる活動は「BASFの価値観と合致
しない」と強調した。
中国の他の事業についてはこれまで通り進めていくとしている。

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