高級乗用車大手の独ポルシェが計画する同社初の車載電池量産工場(ギガファクト
リー)は北米に建設される可能性が高いもようだ。社内情報をもとに『フランクフル
ター・アルゲマイネ』紙が報じたもので、補助金の額が決め手になるという。ポル
シェは決定をまだ下していないとして、報道内容へのコメントを控えている。
同社は2021年、車載電池セルの生産に参入する計画を発表した。完全子会社セル
フォースが現在、国と地元バーデン・ヴュルテンベルク(BW)州から補助金6,000万
ユーロを受け、パイロット生産施設を建設している。年央に完成する見通し。
ギガファクトリーはこれとは別に建設される。年産能力は最大20ギガワット時
(GWh)で、電気自動車(BEV)15〜20万台分に相当する。26年の操業開始を目指して
いる。建設に2年を要すると見込んでいることから、立地選定は年内に終了するとみ
られる。
当初はBW州内に設置されると見込まれていた。だが、経営陣は昨年、米国とカナダも
候補に入っていることを明らかにした。米インフレ抑制法(IRA)を踏まえたもの
で、選定条件としてエネルギー価格や手続きの簡素さのほか、補助金を挙げている。
社内情報によると、ドイツに建設した場合に得られる補助金は7億〜8億ユーロにとど
まる。これに対し北米では約20億ユーロが見込まれることから、経営陣は北米設置に
傾いているもようだ。北米にはポルシェの車両工場がないため、同地でセルを製造す
る場合は親会社フォルクスワーゲン(VW)の現地工場でポルシェ車を生産するか、欧
州まで輸送することになる。
ニコレ・ホフマイスタークラウトBW州経済相は、経済が発展した地域に不利な欧州連
合(EU)の補助金規制に問題があると批判。同規制の改正を働きかけるようドイツ政
府に強く促した。