植物ベースのアリニン生産へ、コベストロがパイロット設備稼働

化学大手の独コベストロは13日、植物バイオマスをベースとするアリニンのパイロッ
ト生産設備を同国西部のレバークーゼンにある拠点で稼働させた。アリニンは断熱材
硬質ウレタンフォームの製造に用いられるMDI(ジフェニルメタンジイソシアネー
ト)の前駆物質。これまでは石油を用いて生産されており、100%植物ベースで製造
するのは世界で初めてという。トーマス・ドライヤー取締役(技術担当)は、「わが
社は新しい製法により、カーボンフットプリントの短い循環経済の構築に寄与する」
と述べた。量産を視野に入れている。
コベストロは、カスタマイズされた微生物の発酵作用を利用して植物由来の工業用砂
糖を中間生成物に転換したうえで、化学触媒作用を用いてアリニンを作る技術を持
つ。パイロット設備では同技術を用いて生産を行い、量産化につなげる意向だ。
2025年まで実施される同プロジェクトにはアーヘン工科大学CAT触媒センターなどが
参加している。連邦食糧・農業省から補助金を受ける。
世界で生産されるアリニンの量は現在、年およそ600万トンに上る。同社は生産能力
が100万トンを超え、最大手の一角をなしている。

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