独複合企業ティッセンクルップは19日、脱炭素化に向けた鉄鋼子会社ティッセンク
ルップ・スチールの水素製鉄プロジェクト「tkH2スチール」で用いる再生可能エネル
ギー電力の供給を独エネルギー大手RWEから受けることで合意したと発表した。同プ
ロジェクト向けにティッセンが再生エネの買電契約(PPA)を結ぶのは今回が初め
て。今後さらなるPPA締結を予定している。
tkH2スチールはコークスの代わりに水素を100%還元剤として用いることができる直
接還元炉と、電気アーク炉(EAF)をデュースブルク工場に設置して同拠点の脱炭素
化を図るプロジェクト。直接還元鉄(DRI=海綿鉄)の生産能力は年250万トン、銑鉄
は同230万トンで、同工場の二酸化炭素(CO2)排出量は年350万トン削減される見通
しだ。2026年の操業開始を予定する。
直接還元炉では水素を用いて鉄鉱石から海綿鉄を製造。海綿鉄は電気アーク炉で銑鉄
へと加工される。このアーク炉で用いる再生エネ電力の一部をRWEから購入すること
を今回、取り決めた。
RWEは北海沖の洋上風力パーク「カスカシ(Kaskasi)」で発電した電力をtkH2スチー
ル向けに年およそ110ギガワット時(GWh)供給する。契約期間は10年。
tkH2スチールの直接還元炉ではグリーン水素が投入される。ティッセンはその調達に
向けた入札手続きを16日に開始した。