バイエルが配当を法定最低水準に抑制、債務圧縮に向け

ライフサイエンス大手の独バイエルは19日、配当を今後3年間、法定の最低水準に抑
制する方針を表明した。同社は巨額債務を抱えるうえ、金利の急上昇で利払い費が膨
らんでいる。フリーキャッシュフロー(企業が自由に使うことのできる現金)の状況
も厳しくなっていることから、配当を減らし債務削減に注力する意向だ。ビル・アン
ダーソン社長は「わが社の債務を減らし、柔軟性を高めることは最優先課題に当た
る」と述べ理解を求めた。4月26日の株主総会で承認を得る意向だ。
同社はこれまで、調整済みベースの純利益の30〜40%を配当に回しており、1株当た
りの配当は2021年12月期が2ユーロ、22年12月期が2.4ユーロだった。23年12月期はこ
れを0.11ユーロへと大幅に引き下げることを株主総会で提案する。
同社は18年、米農薬大手モンサントを630億ドルで買収したことで、巨額債務を抱え
込んだ。現在も380億ユーロと高水準にある。その一方で、23年12月期のフリー
キャッシュフローはゼロになったとみられ、財務の状況は厳しい。株価は年初からこ
れまでに15%低下。過去1年間の下げ幅は50%を超えた。業績改善に向け、大規模な
人員削減を伴う組織再編を実施する意向だ。

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