水素輸入を国が助成、27年からの10年で35億ユーロ

ドイツ連邦経済・気候省は20日、グリーン水素とその誘導体の輸入に国の気候・ト
ランスフォーメーション基金(KTF)から2027〜36年の10年間で最大35億3,000ユー
ロの補助金を交付する見通しを明らかにした。水素経済の立ち上げに必要な支援を
行う。
同国は45年までの炭素中立実現を目指している。エネルギーに関しては主に再生可
能エネルギー電力の拡大を中心に脱炭素化を進めるが、これまで石炭や天然ガスを
使用してきた鉄鋼・化学などエネルギー集約型産業の一部の生産工程では電力によ
る置き替えができないことから、グリーン水素が穴を埋めることになる。
政府の予測によると、国内の水素需要は30年に95〜130テラワット時(TWh)に達
し、その後、さらに拡大していく。ドイツはグリーン水素の生産に必要は太陽光・
風力資源が潤沢でないことから、需要の半分以上を輸入で賄う見通しだ。
ただ、グリーン水素は化石燃料に比べ価格が割高であるため、ユーザー企業は国の
支援がなければ製品競争力を維持できない。政府はこの事情を踏まえ、「二重オー
クションモデル(Doppelauktionsmodell)」という助成の枠組みを導入する。これ
は水素・誘導体の調達と販売でともに入札を実施するというものだ。
調達入札ではグリーン水素と、アンモニアなどの誘導体をそれぞれ1社から購入す
る。提示額が最も低い応札者が落札する。契約期間が長く設定されることから、落
札者は事業計画を立てやすくなり安定供給につながる。
販売入札では提示額が最も高い応札者が落札する。販売価格は調達価格を下回る見
通しのため、差額をKTFの資金で埋め合わせる。
二重オークションは、グリーン水素の国際市場を立ち上げる目的で創設された独
「H2グローバル」の傘下企業Hintco(ハイドロジェン・インターミディアリィ・カ
ンパニー=水素仲介会社)を通じて行われる。

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