独化学大手コベストロのマルクス・シュタイレマン社長(独化学工業会=VCI会
長)は2月29日、国内の石炭火力発電を2030年に全廃するという政府目標はますま
す非現実的になってきたと明言した。30年の廃止を強行すれば電力の供給不足に陥
る懸念があり、政策の見直しを政府に促した格好。エネルギー大手ユニパーのマイ
ケル・ルイス社長も30年の廃止は時間的に厳しいとの認識を28日に示した。政府は
経済界の危機感への対応を求められそうだ。
ドイツでは原子力発電が23年4月に全廃された。二酸化炭素(CO2)排出量が特に多
い電源である石炭発電については遅くとも38年までに全廃することが法律で定めら
れているが、環境政党・緑の党が参画する現政府は早ければ30年に前倒しすること
を目指している。
その実現に向け2月上旬には、水素利用が可能な天然ガス火力発電の建設と運営に
補助金を交付する方針などを打ち出したものの、30年には間に合わないとの懸念が
強い。