シーメンスE製の風力風車でブレードが脱落

ノルウェーの陸上風力発電パークで11日、風車の羽(ブレード)1枚が脱落する事
故が起きた。風車は独シーメンス・エナジーの子会社シーメンス・ガメサが製造し
たもの。現時点で原因は分かっていないものの、シーメンス・エナジーは風車の品
質問題で2023年9月期に巨額損失を計上しており、仮に新たな不具合が発覚すると
同社はさらなる打撃を受ける恐れがある。
事故が起きたのはノルウェー南東部にある「オーダル・ヴィント」風力発電パー
ク。ブレードは長さ72メートル、重量22トンと巨大だ。けが人はなかった。
同パークではガメサの「4.X」プラットホームを用いたタービン「SG5.0-145」が用
いられている。タービン数は34基。そのうち15基についてはブレードの損傷を理由
に先月から運転が停止されていた。今回の事故を受け運営事業者は残りのタービン
も休止した。
オーダルの広報担当者は、事故の原因に言及するには時期尚早だと慎重な立場を示
している。シーメンス・エナジーは「原因は冷静に調査しなければならない」とし
たうえで、オーダルとすでにコンタクトを取っていることを明らかにした。
風力発電風車をめぐっては、価格・納期圧力を背景に品質が軽視されているとの指
摘がある。ブレード製造のコンサルタントであるヨハネスゲオルク・ライプ氏は経
済紙『ハンデルスブラット』に、「時間とコストの圧力ならびに不十分な人材教育
が品質を時に極端に悪化させる結果、タービンの重要部品〜例えばブレード〜の不
具合につながる、あるいは想定寿命前に故障するという事態を招いている」と明言
した。高い品質に見合った価格を受け入れる風力発電パーク運営事業者は少ないと
いう。
タービンの大型化も問題だ。業界関係者は同紙に、ブレードの長さが20メートルの
時代であれば亀裂を比較的簡単に修理できたが、100メートルを超えた現在はごく
小さな問題が発生しただけでブレード全体を解体しなければならないと厳しい状況
を説明した。

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