光学ガラス製造に100%水素投入、工業スケールでショットが試験

特殊ガラス大手の独ショットは16日、加熱炉の熱源に100%水素を用いた光学ガラス
の試験生産を工業スケールの実環境下で実施したと発表した。同社はガラス製造で
2030年までに炭素中立を実現する目標を掲げている。今後は今回の試験結果を分析し
たうえで、目標達成に向けた課題の解決に取り組む意向だ。
ガラスの製造ではこれまで熱源に主に天然ガスが用いられてきた。同社はこれを将来
的にグリーン水素へと改める考えで、まずは22年末、天然ガスに水素を35%混合する
という条件で試験製造を実施。23年春にはもっぱら水素を用いた製造を実験室レベル
で実施した。
今回の工業スケールでの試験製造はこれに続く取り組みで、3日間に渡って実施し
た。今後、品質・特性に問題がないかどうかを確認する。経年変化を調べる長期試験
も行う。
3日間の試験では化石燃料由来のグレー水素を投入した。現時点ではグリーン水素の
供給体制が整っていないためだ。ショットはガラスの均質性、透過性といった品質に
問題がないことが確認されるとともに、パイプラインを通してグリーン水素を安定調
達できるようになった段階で、熱源を水素に切り替えていく。

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