VWに中国がサイバー攻撃か、電動車などのデータが大量流出

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)グループが2010年代前半に深刻なサイバー
攻撃を受け重要な開発データを盗まれていたことが分かった。週刊誌『シュピーゲ
ル』と公共放送ZDFが共同取材に基づいて20日に報じたもので、中国政府の関与が濃
厚としている。
取材ではVWの内部文書を入手したほか、関係者への聞き取り調査を行った。報道によ
ると、サイバー攻撃は2010年から15年にかけて行われた。ハッカーはまず10年、VWの
ITインフラを分析し、侵入路を探索。11〜14年にかけての攻撃ではデータが何度も流
出した。
盗まれたデータは計1万9,000件に達する。そのなかにはガソリンエンジンやデュアル
クラッチトランスミッションのほか、電動車、燃料電池に関するものも含まれてい
る。
中国が直接関与した決定的な証拠は得られなかったものの、痕跡はすべて中国に通じ
ていた。取材に応じたサイバーセキュリティの専門家は「IPアドレスを北京まで追跡
することができた。しかもPLA(人民解放軍)の近くまでだ」と明言した。
ベルリンの在ドイツ中国大使館はZDFなどの取材に、「あらゆる形態のサイバースパ
イ活動は常に明確に弾劾され撲滅されなければならない」としたうえで、サイバー攻
撃を仕かけるために中国政府がハッカーを投入したとする主張を「不愉快だ」と否定
した。
VWはサイバー攻撃の事実を認めたうえで、すでに10年が経過していることを指摘。現
在はセキュリティ対策が大幅に強化されていることを明らかにした。

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