独ボッシュの白物家電部門BSHと伊暖房機器大手アリストンがロシアに持つ子会社が
ともに露国営天然ガス大手ガスプロムの「暫定的な管理下」に入ったことが、同国当
局の26日の発表で分かった。前日付の大統領令に基づく措置。事前の通告はなかった
もようで、アリストンは「極度に驚いている」との声明を発表。イタリアのアントニ
オ・タジャーニ外相は駐伊ロシア大使を呼び、明確な説明を要求した。独外務省も
「わが国はこの発令された強制管理を弾劾し、また、イタリアと緊密に連携してさら
なる措置を留保する」との声明を出した。
BSHの現地子会社BSHハウスホールド・アプライアンシズとアリストン子会社のアリス
トン・サーモ・ルスが、ガスプロム子会社JSCガスプロム・ハウスホールド・システ
ムズの管理下に置かれた。BSHハウスホールド・アプライアンシズはロシアに2工場、
アリストン・サーモ・ルスは1工場を持つ。BSHハウスホールド・アプライアンシズは
ロシアのウクライナ侵略を受け2022年3月以降、生産を停止している。
ロシア産業貿易省は昨年、同国での生産を停止した国外の白物家電メーカーに対し、
生産を再開するか現地資産を売却するかのどちらかを選ぶよう通告した。期限は今年
1月となっており、どちらの選択も行わない場合は国有化する意向を示していた。今
回の措置はこれに絡んだものとみられる。ボッシュは『フランクフルター・アルゲマ
イネ』紙の問い合わせに、大統領令で任命された管理者と協議を行っていることを明
らかにした。
西側諸国の企業ではすでにエネルギー大手ユニパー(独)、フォータム(フィンラン
ド)、ビール大手カールスバーグ(デンマーク)などのロシア資産が同国の管理下に
置かれている。