BYDのドイツ販売が低迷

中国電動車大手・比亜迪汽車(BYD)の新車登録がドイツで低迷している。経済紙
『ハンデルスブラット(HB)』によると、軟調な需要などが背景にあるもようだ。
BYDの1-3月期の独乗用車新車登録台数は前年同期比514%増の393台と大きく伸び
た。一見すると好調にみえるが、比較対象の2023年1-3月期は市場参入直後で登録
台数がわずか64台にとどまっていた。その後は販売を大きく伸ばし、23年全体では
登録数が4,139台に達していたことを踏まえると、今年第1四半期の減速感は否めな
い。データフォースのアナリストは、24年は23年実績を下回る可能性があると述べ
た。
BYDは中国市場以外の販売を伸ばすため自前の自動車運搬船、「BYDエクスプロー
ラー・ナンバー1」の運航を1月に開始。約3,000台を載せた同運搬船は2月末、欧州
最大の自動車ターミナルである独ブレーマーハーフェン港に到着した。だが、同港
からの出荷が滞っている。同港の自動車ターミナルを運営するBLGによると、需要
の低迷が背景にある。他のメーカーも事情は同じだという。
BYDの独ディーラーは「我々は現在、大きな割引なしに販売を行っている。それは
フラストレーションがたまるものだ」と述べた。昨年末の購入補助金打ち切りで割
高感が強まったことが響いている。
HB紙は内部情報として、海上輸送で大規模なカビが発生したことから顧客への引き
渡しが遅れていると報じた。BYDは同紙にカビが発生したことを認めたものの、そ
れは昨年の出来事であり、すでに解決済みの問題だと強調。新車登録台数が低迷し
ているとすれば、地政学リスクに伴う紅海ルートの迂回など他の物流上の問題に原
因があると回答した。
BYDは北京モーターショーで、欧州市場に今年、プラグインハイブリッド車(PHV)
を含む新モデルを投入することを明らかにした。欧州販売車は6種類に増える。
英・西メディアによると、25年にはエントリーも投入するもようだ。

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