ライフサイエンス大手の独メルクは22日、米同業ミラス・バイオを投資会社KKR傘下
のガンマ・バイオサイエンシズから取得することで合意したと発表した。需要が急増
するウイルスベクター(遺伝物質を細胞に送達するために運び屋として用いられるウ
イルス)のポートフォリオを拡充する。買収金額は6億ドル(約5億5,000万ユー
ロ)。第3四半期の取引完了を見込む。
ミラスは核酸を動物細胞内に取り込ませるトランスフェクション試薬の開発と販売に
特化した企業。トランスフェクション試薬は細胞・遺伝子治療に投入されるウイルス
ベクター生産のカギを握る。メルク・ライフサイエンス部門のマティアス・ハイン
ツェル最高経営責任者(CEO)は、「ミラス・バイオの先端技術とバイオプロセシン
グ分野におけるメルクの専門技術・ポートフォリオを組み合わせることで、ウイルス
ベクター開発・製造のほぼすべてのプロセス向けにソリューションを提供できるよう
になる」と意義を強調した。
細胞・遺伝子治療の臨床試験件数は現在、2019年の2倍に増えており、ウイルスベク
ター市場は急成長が見込まれている。