自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は25日、電気自動車(BEV)の米新興企
業リビアン・オートモーティブと協業する方針を発表した。リビアンに出資するほ
か、ソフトウエアの合弁会社を折半出資で設立する。VWではソフト開発の遅れがグ
ループ全体の販売計画に悪影響をもたらしている。リビアンとの協業はその打開策
の1つとみられる。
まずはリビアンの転換社債10億ドルを取得する。12月1日以降に株式に転換でき
る。
リビアンとの合弁ではBEV用の次世代E/Eアーキテクチャーを開発する。
E/Eアーキテクチャーは車両に搭載された電子制御ユニット(ECU)やセンサー、
アクチュエーターなどをつなぐシステム構造。次世代のゾーン型E/Eアーキテク
チャーでは、これまでドメイン(技術領域)ごとに行っていた制御が統合されるこ
とから、部品点数が削減される。また、ソフトを通して機能を制御するソフトウエ
ア定義車(SDV)実現にはゾーン型が欠かせない。
合弁の設立後、VWはリビアンのE/Eアーキテクチャー技術にアクセスできるように
なる。中国で生産するBEV向けのE/Eアーキテクチャーについては戦略協業先の現
地新興メーカー小鵬汽車と共同開発することを4月に発表している。
VWはリビアンとの合弁に10億ドルを投じる考えだが、設立は当局の承認のほか、E
/EアーキテクチャーをVW車に統合できることの確認が前提となる。合弁設立後に
リビアンと同合弁が一定の目標を達成した場合は投資額を計50億ドルに拡大する。
2025年と26年にリビアン株を各10億ドル取得するほか、同合弁に10億ドルの融資を
行う。
BEV市場は冷え込んでおり、米新興フィスカーは今月中旬、経営破たんした。リビ
アンも状況は厳しく、時価総額はピーク時(21年秋)の1,000億ドルから120億ドル
に縮小した。販売1台当たり3万9,000ドルの損失を出しており、第1四半期の純損益
は14億ドルの赤字となった。手元資金は目減りが止まらない。カリンジ最高経営責
任者(CEO)は「VWとのアライアンスはさらなる成長のための資金の確保に寄与す
る」と述べた。