フォルカー・ヴィッシング独デジタル・交通相と中国国家インターネット情報弁公室
の庄栄文主任は26日、両国間のデータ移転に関する協議に向け覚書に調印した。経済
活動で重要性を増すデータを、国境を越えてスムーズに移転できる枠組みを構築する
狙い。ヴィッシング氏は「デジタル化のポテンシャルを活用するためには、データが
可能な限り妨げられることなく流れるようにすることが重要だ。それに当たってはプ
ライベートな領域と安全保障上の利害が全面的に配慮されなければならない。我々の
覚書により、両国間のデータ政策の法的枠組み策定に向けた継続的な意見交換ならび
に共通理解を実現する」と述べた。
両国は4月、オーラフ・ショルツ首相の訪中に合わせ、自動運転・コネクテッドカー
の標準・規格策定に向け協議・協力することで基本合意した。今回の覚書締結はこれ
に続くもので、データ交換分野の協業を追加している。独自動車工業会(VDA)は、
国境をまたぐデータ移転は将来技術の分野で主導的な地位を保つうえで決定的に重要
だと意義を強調した。
中国は外資が国内で得たデータを国外に移転することを厳しく制限している。これは
同国を重要な製造拠点・市場とする独自動車メーカーにとって大きな障害であること
から、独政府はデータ移転に関する両国間の枠組み策定に意欲を示している。独デジ
タル・交通省は声明で「デジタル事業モデルへの産業事業モデルの転換はデータ流通
の法的な明瞭性を必要としている。グローバル市場の断片化を防ぐために」と強調し
た。