製薬大手の仏サノフィが独フランクフルトのヘキスト工業団地に新工場を建設する可
能性があることが分かった。経済紙『ハンデルスブラット』が報じたものので、投資
額は13億〜15億ユーロに達するもようだ。同市のマイケ・ヨーゼフ市長は『フランク
フルター・アルゲマイネ』紙に、決定はまだ下されていないとしながらも、サノフィ
と協議していることを認めた。カール・ラウターバッハ独保健相もX(旧ツイッ
ター)に「わが国の医薬品戦略、医療研究法、デジタル諸法が巨額の投資をもたらし
ている」と投稿した。
同社はインスリンの新工場を建設する計画。パリとフランクフルトが候補となってい
る。パリに白羽の矢を立てた場合、フランス政府は約4億ユーロの補助金を交付する
考えという。ドイツ側も補助金を交付する意向とみられるが、具体的な額に関する情
報はない。フランクフルトを抱えるヘッセン州のボリス・ライン首相は、州が資金面
で関与することは「原則的に考えられる」と述べた。
ヘキスト工業団地はドイツにおけるサノフィの主要拠点で、雇用規模は6,600人に上
る。そのうち1,000人はインスリンの生産に従事している。
ドイツでは昨年秋以降、製薬会社の大型投資計画が相次いで発表されている。政府が
「国家医薬品戦略」を策定するなど、製薬産業立地競争力の強化に取り組んでいるこ
とが奏功。イーライリリーは23億ユーロ、ロシュは14億ユーロ、第一三共は10億ユー
ロ、メルクは3億ユーロを投資する計画だ。