電池製造のファルタが民事再生申請、減資・増資でポルシェが出資の可能性

電池製造の独ファルタは22日、民事再生手続きの適用をシュツットガルト区裁判所に
申請した。同社は経営不振で再建を模索しており、車載電池事業を高級乗用車大手ポ
ルシェとの合弁会社に改める見通しを今月上旬に明らかにしたばかり。それだけでは
再建を果たせないことから民事再生に踏み切る。ポルシェはファルタ本体の株主にな
る可能性がある。
ファルタは充電可能なコイン型リチウムイオン電池の有力企業。2021年までは好業績
が続いていたが、22年になって経営が急速に悪化した。エネルギー・原料コストが大
幅に膨らんだうえ、主要顧客である米アップルからの受注が減少したためだ。
2月にサイバー攻撃を受けたことから、23年12月期決算を公開できない状態が続いて
いる。このため23年10-12月期以降の財務データは明らかにされていない。23年7-9月
期の決算報告によると、9月末時点の債務総額は9億7,049万ユーロに上った。
経営陣は民事再生手続きで債務整理と減資・増資を行い、財務基盤を安定させる意向
だ。ミヒャエル・ギースヴァイン最高再建責任者(CRO)は、債務の削減を行わなけ
れば必要な投資を実施できなくなり、市場でのファルタの地位は年々悪化していくと
明言した。
再建に必要な新たな資金は現時点で千万ユーロのケタ台の後半と見積もられている。
経営陣はこの資金の確保に向け様々な投資家と協議中。そのなかには過半数株を持つ
オーストリアの投資家ミヒャエル・トイナー氏と、ポルシェが含まれている。『フラ
ンクフルター・アルゲマイネ』紙によると、ポルシェはファルタの車載電池事業を自
社主導の合弁会社に改める取引を成立させるため、ファルタに少数株主として出資す
る方向という。ポルシェの広報担当者は「わが社の関与の目的は、このキーテクノロ
ジーを産業立地ドイツで保つことにある」と述べたうえで、条件が合えばファルタに
出資することはあり得るとの認識を示した。

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