メルセデスが旗艦モデルの生産縮小

高級車大手の独メルセデスベンツが旗艦モデルの生産を縮小する。同社の確認を得
た情報として経済紙『ハンデルスブラット』が報じたもので、内燃機関車「Sクラ
ス」と電気自動車(BEV)「EQS」の第4四半期の生産体制を現在の2シフトから1シ
フトに改める。世界需要の大幅な減少に対応する。
SクラスとEQSはジンデルフィンゲン工場の「ファクトリー56」ホールで生産してい
る。両モデルを製造する唯一の拠点だ。同ホールの正社員には生産縮小の影響が出
ないものの、派遣社員の契約は更新されないとみられる。
今年上半期のSクラス販売台数は前年同期比25%減の2万8,100台に落ち込んだ。特
に米国(33%減の7,200台)、欧州(30%減の4,000台)が振るわない。最大市場の
中国も13%減の1万6,200台に縮小した。同国メーカーが仕掛けるBEVの価格競争が
し烈なこともあり、EQSの現地販売は41%減の600台と大幅に後退している。
Sクラスの現行モデルは2020年に市場投入された。フルモデルチェンジは早くても
28年になるとみられることから、それまでの期間はマイナーチェンジでつながなけ
ればならない。旗艦モデルは利幅が大きいことから、販売不振を打開できないとメ
ルセデスの収益力は長く圧迫される懸念がある。

上部へスクロール