ドイツ連邦統計局が27日に発表した2024年4-6月期(第2四半期)の国内総生産
(GDP)は物価調整後の実質に季節要因と営業日数を加味したベースで前期を0.1%下
回った。マイナス成長は2四半期ぶり。内需は伸びず、外需は落ち込んだ。同国経済
は個人消費、企業投資、輸出の不振が長期化。新規受注が上向く兆しもなく、地平線
上に光が見えない状態だ。
個人消費(民間最終消費支出)は0.2%落ち込んだ。減少は5四半期ぶり。高インフレ
を受け賃金が大幅に引き上げられたことから、消費の拡大が見込まれていたが、製造
業受注残高の持続的な減少や失業者数の増加など景気指標の不振を背景に消費者の先
行き懸念は強く、財布のひもは緩まない。個人消費が先導役となり景気が回復すると
したエコノミストの従来の見立ては崩れ去った格好だ。
政府最終消費支出は1.0%増となり、2四半期ぶりに拡大した。
総固定資本形成は2.2%減少した。設備投資は4.4%減となり、3四半期連続で縮小。
建設投資は異例の暖冬が追い風となり0.8%増となった前期の反動もあり2.0%落ち込
んだ。その他の投資は0.6%増だった。在庫調整はGDP成長率への寄与度が0.4ポイン
トと大きかった。
内需全体の成長率は前期同様、0%にとどまった。
物品とサービスの輸出は0.2%減少した。主要産業の電機と機械では新規受注減少の
長期化を受け輸出が減少している。輸入が横ばいだったことから、GDP成長率に対す
る外需(輸出−輸入)の寄与度はマイナス0.1ポイントとなった。
粗付加価値は0.1%減となり、4四半期ぶりに縮小した。製造業が0.2%減、建設業が
3.2%減、流通・運輸・宿泊・飲食業が0.6%減と足を強く引っ張った。製造業では機
械、電気装置が減少。自動車・自動車部品と化学品は増加した。
粗付加価値の伸び率が最も大きかったのは企業向けサービスで0.9%に上った。不動
産(0.7%増)、情報・通信(0.6%増)、金融・保険(0.2%増)も前期を上回っ
た。
欧州連合(EU)統計局ユーロスタットによると、EUとユーロ圏の第2四半期のGDPはと
もに0.3%拡大した。データの出そろっている22カ国のなかで減少したのはドイツを
含め4カ国に過ぎない。主要国をみると、スペインは0.8%増、フランスは0.3%増、
イタリアは0.2%増とプラス成長を記録した。これら3カ国は過去4四半期にマイナス
成長へと一度も陥っていない。
一方、ドイツのGDPは22年第4四半期以降、上昇と低下を交互に繰り返し、低迷が長期
化している。この間のGDPを指数ベース(2020年=100)でみると、最低が104.61(23
年第4四半期)、最高が105.00(23年第3四半期)と変化の幅が小さい。24年第2四半
期は104.78で、22年第4四半期(104.81)とほぼ同水準にとどまった。
ロシアのウクライナ侵略に伴うエネルギー価格の高騰とインフレショックが現在も企
業活動と個人消費の足かせとなっている。中間財の生産高がエネルギー危機前の21年
を現在も12%以上、下回っているのは深刻な問題だ。最大の貿易相手国である中国が
構造危機に陥っていることもあり、迷宮からの出口を見つけるのは容易でない。