スウェーデンのリチウムイオン電池メーカー、ノースボルトは9日、事業の大幅縮小
方針を発表した。同国北部シェルレフテオー工場でのセルの量産開始がスムーズに行
かず、計画が大幅に遅延。最近は電気自動車(BEV)の販売低迷を受け電池需要が
鈍っていることから、経営資源を当面、セルに絞り込み、他の事業は棚上げ、停止、
合弁化する意向だ。
シェルレフテオー工場では2022年末にセル生産が始まった。だが、歩留まりが悪いこ
とからコストが膨らんでいるうえ、顧客への引き渡し計画に遅れが出ている。高級乗
用車大手の独BMWは6月、同社からのセル調達契約を破棄した。
ノースボルトはすでに事業の見直しを進めており、8月には米カリフォルニア州の研
究・開発(R&D)拠点を閉鎖することを明らかにした。今回打ち出した措置はこれに
続くもので、シェルレフテオーでの正極材生産を休止。スウェーデン南部のボルレン
ゲで正極材を生産する計画は停止する。また、ポーランドのグダンスクにある電池シ
ステム工場については出資者を模索する。
ドイツとカナダでのセル生産計画は堅持している。だが、カナダ工場の操業開始につ
いては現時点で最大18カ月の遅れ予想されている。経済紙『ハンデルスブラット』に
よると、独工場でも遅れが出る可能性がある。
欧州の車載電池業界では需要の減速を受け、生産計画見直しの動きが広がっている。
中国の蜂巣能源科技(SVOLT)は5月、独東部のラオホハンマーに工場を開設する計画
を中止。欧州自動車大手のステランティス、メルセデスベンツ、エネルギー大手トタ
ルエナジーズの電池合弁会社オートモティブ・セル・カンパニー(ACC)は6月、独カ
イザースラウターン、伊テルモリ工場の建設見合わせ方針を明らかにした。トルコの
コチがLGエナジーソリューション、フォードと同国で電池を共同生産する計画は昨年
秋に撤回されている。