独が国境検査を全隣接国に拡大、身分証携帯を忘れずに

ドイツ政府は9日、これまで一部の国に限定していた陸路の国境検査をすべての隣接
国に拡大すると発表した。イスラム過激思想に感化された難民による殺人事件が相次
ぎ、難民申請者の流入抑制を求める声が国民の間で強まっていることを受けた措置。
16日から6カ月間、実施する。ドイツ在住者であってもパスポートを持っていないと
入国できなくなる恐れがあるため、注意が必要だ。
ドイツはこれまで難民申請者の主な流入ルートであるオーストリア、スイス、チェ
コ、ポーランドの4カ国を対象に国境検査を行ってきた。16日からはフランス、ルク
センブルク、オランダ、ベルギー、デンマークの5カ国を追加する。公共秩序や国内
の治安に深刻な脅威がある場合は例外措置として国境検査を再導入できるとしたシェ
ンゲン協定加盟国出入国規則25条に基づく措置だ。非正規の移民流入を抑制する狙い
がある。
その影響で国境をまたいだ通勤や出張、物流に支障が出る懸念がある。独卸売・貿易
業者連盟(BGA)のディルク・ヤンドゥラ会長は『ハンデルスブラット』紙のインタ
ビューで、理解できる措置だとしながらも、他の分野に極端なしわ寄せが出ないバラ
ンスの取れたものとするよう要請した。物流業界団体DSLVのフランク・フスター専務
理事は、欧州の生産、流通、物流プロセスは国境検査がないことを前提にしていると
指摘。トラックの運行が滞る可能性があると述べた。

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