ドイツ南部のバイエルン州政府は10日、電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発を進める
地元企業リリウムに5,000万ユーロの信用保証を行うことを閣議決定した。フロリア
ン・ヘルマン州官房長官が明らかにした。国が同額の信用保証を引き受けることを前
提としているものの、連邦交通省は同州政府の今回の決定を歓迎しており、同社は総
額1億ユーロの公的支援を受ける公算が高まった。
リリウムはeVTOLの有力企業。すでに国内外で多数の受注を獲得しているものの、当
局の承認を得て商業利用に漕ぎ着けるには時間がかかる。顧客への引き渡し開始は
2026年と見込まれている。
それまでの運転資金が必要なことから、同社は国と州に支援を要請していた。州政府
内では支援に前向きな意見が多かったものの、所轄大臣であるフーベルト・アイヴァ
ンガー経済相が強く反対していたため決定が遅れていた。
州政府が今回、支援を了承したのは、◇支援を得られなければ国外の投資家に身売り
し本社も国外に移転する意向をリリウムが示した◇同社が仮に経営破たんすると州内
の従業員およそ750人が失業する――という事情があったためとみられる。ヘルマン
氏はアイヴァンガー氏を含む内閣の全会一致で支援を決めたと述べた。
バイエルン州にはリリウムの競合であるボロコプターも支援を要請したが、アイヴァ
ンガー氏の反対で実現しなかった経緯がある。ボロコプターは他州に本社を置いてい
る。