マイヤー造船所を国有化

資金難に陥っている独マイヤー造船所は17日、公的支援を受けることが正式に決定し
たと発表した。国と地元ニーダーザクセン州から出資と信用保証を受ける。これに伴
い国有化される。
マイヤーはクルーズ船の建造に強みを持つ老舗造船会社。コロナ禍で新規受注がほぼ
途絶えたうえ、その後の高インフレで鉄鋼価格が大幅に上昇したことから経営が急速
に悪化した。顧客との契約に調達コストの上昇を反映させる条項がなかったことが大
きな打撃となっている。
最近はディズニーからクルーズ船4隻の受注を獲得し、受注残高が110億ユーロに急増
するなど状況は改善している。だが、顧客が支払う頭金は契約総額の通常20%にとど
まり、残りは引き渡し時に受け取ることから、建造期間中の資金繰り確保が大きな課
題として浮上している。自己資本が減り、取引先銀行が融資をためらっているため
だ。
国とニーダーザクセン州はこの事態を打開するため、マイヤーの資金繰りを支援す
る。それぞれ2億ユーロを出資し、同社の資本を計80.73%取得。また、信用保証を通
して総額26億ユーロの銀行融資を受けられるようにする。貸し倒れが発生した場合
は、その80%を国と同州、残り20%を融資行が負担することになる。
マイヤーは雇用規模が3,800人に上り、独造船業界の雇用全体の23%を占める。サプ
ライヤーやサービス事業者を含めると1万7,000人の雇用が同社に依存している。洋上
風力発電向け交直変換プラットホーム建造の有力企業であるという事情もあることか
ら、国は今回の支援に踏み切った。

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