ワイヤーハーネス大手の独レオニは17日、同社の単独オーナーであるシュテファ
ン・ピーラー氏が保有株50.1%を中国の電子機器受託製造サービス(EMS)大手
ラックスシェア(立訊精密)に売却することで合意したと発表した。レオニの財務
基盤と競争力を強化する狙い。取引金額は3億2,000万ユーロ。取引はカルテル当局
の承認を経て成立する。
レオニは事業拡大が裏目に出て経営が悪化。経営再建に向け特殊電線事業をタイ同
業のスターク・コーポレーションに売却する契約を締結したが、クロージング直前
の2022年12月に破棄されたことから経営危機に陥った。
これを受け、債務整理と減資・増資手続きを通して経営を立て直すことを決定。発
行済み株式をすべて消却した後に、ピーラー氏が増資をすべて引き受け単独オー
ナーとなっていた。
欧米の自動車産業向け事業に強いレオニとアジア市場に強いラックスシェアは協業
を通してグローバルな事業基盤を創出する考えだ。
ラックスシェアは配線システム分野でレオニが持つ知見や強みを活用していく。グ
レース・ワン最高経営責任者(CEO)は「この協業は世界の自動車業界で主要な企
業になるための決定的な一歩だ」と明言した。
今回の取引ではレオニの自動車ケーブル・ソリューションズ(ACS)事業をラック
スシェア傘下の合弁会社タイム・インターコネクト・シンガポールが完全買収する
ことも取り決められた。