ドイツ政府が資源の採掘、加工、リサイクリングを支援するための基金を設立す
る。GX(グリーントランスフォーメーション)やDX(デジタルトランスフォーメー
ション)、航空宇宙・防衛産業など幅広い分野で必要不可欠な重要資源を、中国を
はじめとする欧州域外からの輸入に強く依存している現状を改める狙い。経済紙
『ハンデルスブラット』が17日付で報じたもので、フランチスカ・ブラントナー経
済政務次官は、地政学的な不安定性が増すなかで重要資源サプライチェーンのレジ
リエンスを高めることは重要だと強調した。
資源基金の設立は政権協定に盛り込まれた政策で、ドイツの産業立地競争力を高め
る狙いがある。設立すること自体には以前から与党内に合意があったものの、同基
金の支援を融資だけにとどめるのか、出資も含めるのかをめぐり、小さな政府を是
とする自由民主党(FDP)と環境政党の緑の党が激しく論争し、具体化が遅れてい
た。出資も含めることで今回、合意が成立したことから、設立のメドが立った。
政策金融機関であるドイツ復興金融公庫(KfW)を通して設立する。基金の規模は
約10億ユーロ。国内外のプロジェクトを支援対象とする意向だ。ブラントナー氏は
「すでに他の国が成功裏に実施している取り組みをわが国も行う」と述べた。
独自動車工業会(VDA)は18日、「電気自動車の野心的な拡大目標を達成するため
には、十分な量の電池材料がとりわけ必要であり、しかしまた、電動駆動装置に用
いる希土類も必要だ」との声明を発表し、基金の設立を歓迎した。
独産業連盟(BDI)のよると、ドイツは希土類の90%以上を中国からの輸入に依存
している。電池に必要な黒鉛も最大90%が中国製という。電池材料のリチウムでも
同国はチリに次いで2番目に大きな供給元となっている。