三菱電機は19日、独電機大手シーメンスの鉄道車両・設備子会社シーメンス・モビリ
ティから自然冷媒R290(プロパン)を使用した鉄道車両用空調装置(鉄道車両用R290
空調装置)1,350台を受注したと発表した。鉄道車両向けにR290を使用した空調装置
を日系企業が受注するのは初めて。受注額は明らかにしていない。
イタリア子会社の三菱電機クリマット・交通システム(MEKT)が受注した。独南部
ミュンヘンの近郊鉄道(Sバーン)で採用する新型車両に搭載される。2025〜31年度
に納入する。
鉄道車両用空調装置向けの冷媒には現在、R407C、R134aなどの代替フロン(合成化合
物)が広く使用されている。これらの物質は二酸化炭素(CO2)の何倍の温室効果を
持つかを示す地球温暖化係数(GWP)が高く、R407Cで1,774、R134aで1,430に上る。
自然界に存在する物質 であるR290は同0.02と極めて低いうえ、エネルギー消費効率
も高いことから、脱炭素化に寄与すると目されている。
R290には燃焼性があるため、設計・設置時に安全対策が必要となる。MEKTは安全性を
確保した設計を行うことで、今回の受注を獲得した。