EUの車両CO2排出規制緩和を独交通相が要求

ドイツのフォルカー・ヴィッシング交通相は17日に行なわれた国際商用車見本市
「IAAトランスポーテーション」の開幕式で講演し、自動車を対象とする欧州連合
(EU)の二酸化炭素(CO2)排出規制を見直すよう要求した。電気自動車(BEV)の販
売が想定を下回るなど規制遵守シナリオの前提条件が崩れ、多くのメーカーが制裁金
支払いを余儀なくされる見通しとなっていることを踏まえた発言。「達成できない目
標に固執すればEUは信頼を失う」と警告した。
EUでは新車の走行1キロメートル当たりのCO2を一定水準以下に抑制することが義務付
けられている。順守できないメーカーには未達成の度合いと販売台数に応じた制裁金
が課される。
同規制は2025年から大幅に強化される。CO2を排出しないBEVの販売比率が増えれば達
成しやすくなるものの、BEVの需要が低迷していることから、制裁金支払いを命じら
れるメーカーが多数、出ると予想されている。
ヴィッシング氏はEUほど厳しい規制を導入している国・地域はないと指摘。自動車
メーカーに制裁金が科されれば、欧州製造業の競争力は弱まると危機感を表明した。
「野心的な目標は必用だが、弓を張りすぎてはならない」としている。
同氏の主張は独自動車工業会(VDA)の立場に呼応するものだ。VDAのヒルデガルト・
ミュラー会長は、同規制のレビューを1年前倒するとともに、順守可能なレベルに引
き下げることを欧州委員会に要求した。レビューは乗用車で26年、大型商用車で27年
に予定されている。

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