欧州初のリチウム精錬工場が独で完成

特殊金属・リサイクル大手の蘭AMGクリティカル・マテリアルズと独子会社AMGリチウ
ムは18日、ドイツ東部のビターフェルト・ヴォルフェンでリチウム精錬工場の竣工式
を行った。リチウム精錬施設が欧州に設置されるのは初めて。リチウムイオン電池の
主要材料である水酸化リチウムを域内供給できるようになることから、将来的に同地
の電池・電動車サプライチェーンの自立化につながると期待されている。
2022年4月に開始された工場建設が完了した。投資額は1億4,000万ユーロで、そのう
ち550万ユーロを補助金で賄った。今月中にも顧客の正極材メーカーなどに供給を行
い、品質などに問題がなければ本格供給が始まる。
年産能力は電動車50万台分に相当する2万トンに上る。将来的に5倍の10万トンに拡大
する計画だ。AMGクリティカルのハインツ・シンメルブッシュ最高経営責任者(CEO)
は、水酸化リチウムの欧州需要が30年に60万トンを超える見通しを指摘。その16%を
同社が供給する考えを表明した。
リチウムの80%はブラジルで採掘されたものを使用する。中国で中間加工された材料
をビターフェルト・ヴォルフェン工場で完成品に仕上げることから、欧州域外に強く
依存する現状は当面、変わらない。
ただ、将来的には欧州産のリチウムを使用し、同地でバリューチェーンを完結させる
考えだ。独エルツ山地のツィンヴァルトやポルトガルの鉱山から調達することを視野
に入れている。ツィンヴァルトの鉱山では、AMGから25%の出資を受ける地元企業
ツィンヴァルト・リチウムが30年までの採掘開始を目指している。
オーラフ・ショルツ独首相は8月にエルツ山地を訪問した際、同地でのリチウム採掘
は優先事項だとする投稿をX(旧ツイッター)に上げた。ただ、地元ではリチウム鉱
山開発計画への反対運動が起きており、実現は容易でないと目されている。

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