ウニクレディトがコメ銀株を買い増し

伊金融大手ウニクレディトは23日、デリバティブ取引を通して独コメルツ銀行株およ
そ11.5%を確保したと発表した。すでに保有する約9%と合わせると21%弱を取得す
ることになる。アンドレア・オルセル最高経営責任者(CEO)は今月中旬、コメ銀の
買収を選択肢の1つとしていることを明らかにしており、コメ銀側は対抗策を練って
いるもようだ。
ウニクレディトは11日、ドイツ政府が前日夜に放出したコメ銀行株4.49%を取得し、
出資比率を約9%に拡大したとことを明らかにした。最大29.9%に引き上げる許可を
すでに欧州中央銀行(ECB)に申請していることから、出資比率を21%弱にとどめる
考えはないとみられる。同30%に達すると有価証券取得・買収法(WpUEG)の規定に
より、株式公開買い付け(TOB)の実施義務が発生する。
ドイツ政府はリーマンショックに伴う金融危機で財務基盤が不安定となったコメ銀に
総額182億ユーロの支援を行った。これに伴い同行株を取得し、半国有化していた。
10日に保有株の一部を売却したことから、国の出資比率は16.5%から12%に低下し
た。
政府はウニクレディトによるコメ銀買収に反対しており、ドイツ連邦共和国財務機構
は20日、同行株の追加放出を当面、見合わせることを明らかにした。オーラフ・ショ
ルツ首相はコメ銀が国内の中小・中堅企業にとって重要な金融機関であることを指摘
するとともに、ウニクレディトが事前に打診することなくコメ銀株をひそかに大量確
保していたことに不快感を表明。コメ銀が独立を維持することに支持を表明した。

上部へスクロール