物流大手の独DHLグループは23日、2030年までに売上高を23年比で50%拡大する目標
を表明した。急成長する地域と業界、Eコマース向けサービスなどを重点強化するこ
とで達成する。
売上高を23年の820億ユーロから120億ユーロ超へと拡大する。年当たりの伸び率は約
6%で、世界経済の成長率を大幅に上回る見通しだ。
重点強化するのは◇製薬向け特殊物流ソリューション◇新エネルギー関連の輸送◇急
成長する地域◇Eコマース向けサービス◇デジタル販売――の5分野。製薬分野ではバ
イオ医薬品、細胞・遺伝子治療、臨床向けに特殊輸送・保管のニーズが高まってお
り、23年から30年にかけて年率10%以上の市場成長が見込まれている。新エネルギー
では風力発電用ブレードや電動車用電池の輸送市場が年15%以上のスピードで拡大す
る見通しだ。
同社は脱炭素化の取り組みも強化する意向で、使用する航空機燃料に占めるSAF(持
続可能な航空燃料)の割合を30年までに30%に引き上げる。
このほか、Eコマース事業とドイツ国内の郵便・小包輸送事業を独立会社化し、柔軟
性を高める方針を明らかにした。国内郵便・小包輸送事業の独立会社化に対しては郵
便需要の縮小を踏まえ、売却に向けた布石ではないかとの観測が出たが、トビアス・
マイヤー社長は24日の記者会見で明確に否定した。