BASFが組織再編、農薬はIPO

化学大手の独BASFは26日、組織再編計画を発表した。GX(グリーントランスフォー
メーション)や市場環境の変化など同社を取り巻く環境の変化に対応し、競争力を維
持・強化していく狙いで、事業をコアビジネスと独立型ビジネスに区分。独立型の事
業では戦略的オプションや新規株式公開(IPO)を行う意向だ。
化学業界ではエネルギーコストの上昇、中国の過剰生産能力を背景とする基礎化学品
の価格低下、脱炭素化など市場環境が大きく変化している。基礎化学品から機能性化
学品まで幅広い分野の製品を手がける総合化学メーカーのBASFはその影響を強く受け
ており、事業の抜本的な見直しが必要な状況だ。
今回の組織再編はこれを踏まえたもので、同社のバリューチェーンに緊密につながる
事業をコアビジネス、特定の事業分野に特化した競合との激しい競争にさらされる事
業を独立型ビジネスに分類した。
コアビジネスは、石油化学品と化学品中間体事業からなるケミカル部門、パフォーマ
ンスマテリアルズとモノマー事業からなるマテリアル部門、ディスパージョン&レジ
ンとパフォーマンス・ケミカルズからなるインダストリアル・ソリューション部門、
ケア・ケミカルズ、ニュートリション&ヘルスからなるニュートリション&ケア部門
で構成される。BASFは本社所在地ルートヴィヒスハーフェンをはじめ世界に計6カ所
の統合生産拠点を持ち、基礎化学品から高付加価値製品に至る効率的なバリュー
チェーンを構築していることから、資源利用・コスト効率が高く、その強みをコアビ
ジネスで活用していく考えだ。内部成長と買収を通して競争力を高めていく。コアビ
ジネス内の事業でも戦略的な意義を喪失したり利益率が低いものについては整理を行
う。
独立型ビジネスには自動車触媒、電池材料、コーティング、農業化学の4事業が分類
された。農業化学については分社化・IPO、コーティングについては合弁化や売却を
考えている。
電池材料に関しては、市場が急成長しているものの市場リスクが大きいことから、事
業の拡大を見合わせるとともに、バリューチェーンに沿った提携の可能性を模索して
いく。自動車触媒事業については、法的に自立したユニット「環境触媒・金属ソ
リューションズ(ECMS)」への分離手続きが2023年に完了している。
採算が悪化しているルートヴィヒスハーフェンの統合生産拠点については、製造施設
の大半は現在も将来も競争力を保てるとの分析結果を明らかにした。不採算の施設を
廃止するなどして同拠点のコストを26年末までに年およそ21億ユーロ引き下げる計画
だ。

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