独複合企業ティッセンクルップは9日、ギリシャの建材大手タイタン・グループとフ
ロントエンドエンジニアリングデザイン(FEED)契約を締結したと発表した。タイタ
ンが計画する二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)プロジェクト「IFESTOS」向けに
技術を提供する。
IFESTOSはサントリーニ島東部のカマリにあるセメント工場の脱炭素化を図るプロ
ジェクト。ティッセンクルップの脱炭素エンジニアリング子会社ティッセンクルッ
プ・デカーボン・テクノロジーズが独自開発したオキシ燃料技術を投入し、大気中に
放出されるCO2をほぼゼロに引き下げる。同子会社のセティン・ナジッコル最高戦略
責任者(CSO)によると、カマリ工場のCO2排出量を年190万トン削減できる。これは
ギリシャの製造業が排出するCO2の12%に相当する規模という。分離したCO2は液化さ
れ、地中海の最終貯留施設に埋蔵される。2029年末のフル稼働開始を見込む。
タイタンは同プロジェクトで生産された製品を「グリーン・セメント」としてインフ
ラや住宅建設向けに販売する意向だ。顧客企業はカーボンフットプリントを改善でき
る。
FEEDは実行可能性調査(FS)の終了後に行なわれるプラントの基本設計を指す。