特殊化学大手の独エボニックは11日、コーティング・接着樹脂とヘルスケアの2事業
を再編すると発表した。経営資源を中核分野に絞り込み、それ以外の事業は売却、合
弁化ないし停止する。クリスティアン・クルマン社長は、「わが業界は世界的に根底
的な構造転換のただ中にある」と述べ、市場での成長チャンスを生かすためには最も
強い分野に経営資源を絞り込む必要があると強調した。売上高で計3億5,000万ユーロ
の事業を非中核の扱いとする。
ヘルスケアでは「伝令RNA・遺伝子治療薬向け脂質」「薬物送達システム(DDS)」
「細胞培養成分」の3分野を中核事業とする。これに伴い、製薬用ケト酸を製造する
独ハーナウ工場の操業を2025年末で終了。同じくケト酸を手がける仏北部のアム工場
と中国の武鳴区工場については合弁化ないし売却に踏み切る。
コーティング・接着樹脂では「接着剤・封止剤向け添加剤の液状ポリブタジエン」と
「医療機器・包装材産業向け特殊アクリレート」を中核事業として残す。ポリオレ
フィン事業については、サプライチェーンの分野で緊密につながるC4ケミカル事業へ
と移管・統合し、将来的にはC4ケミカル事業の一部として売却する方向。また、塗
料・接着剤向けポリエステル事業に関しては年内にも売却先の模索を開始する。