デリバティブ取引を通した株式確保の申告義務強化をドイツ政府が検討している。伊
銀ウニクレディトによる独コメルツ銀行株の密かな確保が明らかになったことを受け
た措置。財務省の広報担当者がロイター通信に明らかにした。
ウニクレディトは独政府がアクセリレーテッド・ブックビルディング方式で9月10日
夜に放出したコメ銀行株4.49%を取得した。翌日に発表したプレスリリースでは、デ
リバティブ取引を通してすでに4.5%を確保しており、政府放出株と合わせると出資
比率が約9%に上るとことが判明。23日には、さらなるデリバティブ取引を通して同
約21%に引き上げられる状況にあることとも明らかにした。コメ銀買収を選択肢の1
つとしており、ドイツ国内では人員削減や金融競争力低下への懸念が強まっている。
財務省が申告義務の強化を検討し始めたのはこれを受けたもので、デリバティブを通
して確保した株式の申告義務を現在の「5%以上」から「3%以上」に引き下げる。株
式についてはすでに2012年の時点で従来の「5%以上」から「3%以上」に引き下げら
れている。
同省は申告義務期限の短縮も検討している。現在は欧州連合(EU)法に基づき4営業
日以内となっているが、EU法への抵触を回避できることなどが確認できれば短縮に踏
み切る可能性がある。
ウニクレディトがコメ銀を買収した場合、重複業務の削減に伴い行員が大量整理され
る懸念がある。独労働組合連合会(DGB)のヤスミン・ファヒミ委員長はこれを踏ま
え『ハンデルスブラット』紙のインタビューで、同買収の阻止に向け政治・規制上の
可能な手段を最大限、活用するよう政府に強く要請した。