CO2から生分解性プラスチック、スタートアップのパイロット生産施設が稼 働

二酸化炭素(CO2)を生分解性プラスチックに変えるパイロット生産施設が14日、フ
ランクフルトのヘキスト工業団地で稼働を開始した。気候変動とプラスチックごみに
よる環境汚染の防止、石油に依存した化学生産からの脱却につながると期待されてい
る。
同施設を運営するのは2019年創業のスタートアップ企業CO2バイオクリーン。微生物
の力でCO2から生分解性プラスチックを製造する。技術担当者は『フランクフル
ター・アルゲマイネ』紙に、「植物はご存じのように、CO2を砂糖に転換します。当
社の細菌もこれに似ています。ただ、彼ら(細菌)はこのプロセスで太陽光ではなく
水素をエネルギー源として用いるのです」と説明した。
この細菌はCO2を消化してポリヒドロキシアルカノエート(PHA)というポリエステル
を合成する。合成された液体状のPHAはその後、浄化されたうえで、粉末か繊維に加
工される。
粉末は射出成型機で様々な形状に加工することができる。若木を鹿などの野生動物に
よる食害から守るツリーシェルターとしてバイエルン州の森に試験投入されることが
すでに決まっている。一般的な製品と異なり自然に分解するため、樹木の生長で破れ
地面に落ちたツリーシェルターを回収する手間が省ける。農業用のビニールトンネル
や、輸送中の種子の発芽を防止する薄膜など他の用途でも有望という。
PHA繊維としてはケーブルの絶縁体など技術用途での使用を想定している。
関心のある企業に対しては5〜100キログラムの範囲でニーズに見合った製品を試供す
る。27年の商業生産開始を目指している。
同社には欧州連合(EU)の欧州イノベーション会議(EIC)が180万ユーロ、地元ヘッ
セン州が80万ユーロ、オーストリア企業ガザン・コモディティーズが約100万ユーロ
を出資している。

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