工作機械のトルンプが2年連続受注減に

工作機械や半導体製造装置用レーザーの有力企業である独トルンプが17日に発表し
た2024年6月通期の新規受注高は46億ユーロとなり、前期を10.4%下回った。受注
減は2期連続。景気低迷と地政学危機に加え、市場競争の激化が響いた。ニコラ・
ライビンガーカムミュラー社長は「当社はこれまで経験したことのない、し烈さを
増す競争にさらされている。(この競争は)中国の保護主義的な措置を一部、伴っ
ている」と述べた。
売上高は52億ユーロで、過去最高となった前期を3.6%割り込んだ。営業利益
(EBIT)は18.5%減の5億100万ユーロとより大きく後退。売上高営業利益率は
11.5%から9.7%に低下した。新規受注減少に歯止めがかかる兆しはなく、売上高
は25年6月期も縮小する見通しだ。
24年6月期の売上高を部門別でみると、主力の工作機械は前期の30億ユーロから28
億ユーロ、レーザー技術も15億ユーロから14億ユーロに落ち込んだ。蘭ASMLの極端
紫外線(EUV)露光装置向けに供給するレーザー増幅器の売上高は2.9%減の9億
4,300万ユーロだった。
地域別では米国が11.5%減の7億9,600万ユーロと大きく落ち込んだ。ドイツ本国は
5.8%増の8億2,400万ユーロ、中国は2.2%増の6億1,500万ユーロだった。
ライビンガーカムミュラー氏は世界経済が現在、危機的な状況にあると指摘したう
えで、ドイツは「中国、米国との補助金競争に参戦し計画経済を目指すことでグ
ローバル競争に目を閉じるのか、それとも、研究を強化し市場志向の産業というわ
が国の美徳を再び自覚するのか」という重大な決断を迫られていると強調した。

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