BASFが断熱材原料の生産能力拡大、EU建物エネルギー性能指令を踏まえ

化学大手の独BASFは24日、本社所在地ルートヴィヒスハーフェンの統合生産拠点に高
性能断熱材原料「ネオポール」の生産施設を新設すると発表した。欧州連合(EU)の
炭素中立政策を背景に建築用断熱材需要の拡大が見込まれることを受けた措置。年産
能力5万トンの新生産施設を2027年初頭に稼働させる。
ネオポールはグラファイトを含有する発泡性ポリスチレンで、主に建築用の断熱材に
用いられる。グラファイトに起因するグレーカラーの効果で、断熱効果は白色系の発
泡性ポリスチレンに比べ最大30%高い。取り扱いやすいほか、リサイクルできるとい
う強みもある。
EUは50年までの炭素中立実現を目指している。二酸化炭素(CO2)の主な排出源の1つ
である建築物の分野では「改正・建物のエネルギー性能指令(EPBD)」が5月末に発
効した。新築建造物では公的機関が所有・借用・運用するもので28年、それ以外のも
のでも30年までに排出ゼロとすることが義務付けられる。また、加盟国は住宅のエネ
ルギー消費を削減するための国家計画策定を義務付けられており、新築、既存を問わ
ず住宅などの断熱材需要はほぼ確実に拡大する見通しだ。

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