eVTOLのリリウムが民事再生申請へ

オランダに法律上の本社を置く電動垂直離着陸機(eVTOL)開発のリリウムは24
日、独子会社の民事再生手続きを裁判所に申請すると発表した。当てにしていた公
的支援を受ける見通しが崩れたことから、資金繰りのメドが立たなくなった。
事実上の本社であるリリウムGmbHと、リリウムeエアクラフトGmbHを対象に経営権
を温存できる民事再生の適用を申請する。新たな資金源を確保し、存続を図る狙い
だ。事業や資産の部分売却も視野に入れている。
リリウムはeVTOLの有力企業。すでに国内外で多数の受注を獲得しているものの、
当局の承認を得て商業利用に漕ぎ着けるには時間がかかる。顧客への引き渡し開始
は2026年と見込まれている。
それまでの運転資金が必要なことから、同社はドイツ政府と地元バイエルン州政府
に総額1億ユーロの支援を要請。同州政府は9月、国が同額の信用保証を引き受ける
ことを前提に5,000万ユーロの信用保証を行うことを閣議決定した。ドイツ政府も
信用保証に前向きな姿勢を示していたものの、連邦議会(下院)予算委員会で否決
されたことから、国と州の支援を受けるメドが立たない状況に陥った。
公的支援が決まれば、民間の投資家から1億ユーロの出資を受けられる見通しだっ
たことから、資金計画に大きな狂いが発生。民事再生を通した再建に切り替えた。
ただ、裁判所が民事再生申請を受け入れるかどうかは定かでない。

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