給与・諸手当の大幅削減をVW経営陣が要求

独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は30日、競争力を長期的に保つために必要な
人件費削減の具体的な要求を公表した。金属労組IGメタルと従業員代表の事業所委員
会が要求する賃上げ要求などは受け入れ不可能と強調。給与と諸手当を大幅に引き下
げなければならないとしている。
経営陣は9月、ドイツ本国の従業員の雇用を30年に渡って保障してきた協定の破棄を
IGメタルに通告した。国内の少なくとも3工場を閉鎖する必要があるとしており、大
規模な整理解雇も辞さない構えだ。事業所委によると、経営陣は従業員12万人のうち
1万人を削減する考え。
IGメタルと事業所委はこれに強く反発し、雇用保障協定破棄の撤回を求めている。ま
た、これまでの賃金協定が失効したことを受け、7%の賃上げを要求している。
経営陣は30日の声明でこれらの要求を退けるとともに、主力の独VW乗用車ブランドの
1-9月期の売上高営業利益率が前年同期の3.4%から2.1%に低下したことを指摘。経
営側の交渉担当者であるアルネ・マイスヴィンケル氏は、このような低い水準にとど
まっていたのでは将来の競争力確保に必要な資金を捻出できないとして人件費の大幅
削減は必要不可欠だと訴えた。
人件費が低いチェコ子会社のシュコダでは同利益率が6.4%から8.3%に上昇した。独
工場の現在のコストは目指すべき水準を25〜50%上回っているというのが経営陣の判
断だ。
人件費の削減に向けては給与を10%引き下げるほか、◇管理職とスペシャリストを対
象とするボーナスや社用車などの優遇制度「タリフプルス」の見直し◇月170ユーロ
の手当の廃止――などを打ち出している。
これらの措置が実施されると、従業員の収入は大幅に減少することになる。事業所委
によると、工場勤務の平均的な従業員では減収幅が約18%に達する。ただ、それでも
VW従業員の給与水準は相対的に高いもようだ。マイスヴィンケル氏は「引き下げを
行った場合でもフォルクスワーゲンの給与水準は製造業平均と比較して依然としてか
なり魅力的だ」と明言した。

上部へスクロール