スウェーデンのリチウムイオン電池メーカー、ノースボルトは21日、米連邦破産法11
条の適用を申請したと発表した。資金繰りが厳しくなってきたことから、同条の適用
を受けて債務整理を進めるとともに、事業基盤を現在の顧客ニーズに見合った水準に
縮小し、経営再建を図る。同社は米国に子会社を持つことから今回の申請を行うこと
ができた。
ノースボルトは米テスラ調達部門出身の元幹部が2016年に立ち上げたスタートアップ
企業で、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)やBMW、米金融大手ゴールドマン・
サックスが出資している。中国製電池への強い依存からの脱却を目指す欧州の希望の
星と目されてきた。
だが、スウェーデン北部のシェルレフテオー工場で21年12月に始まったセルの量産が
スムーズに行かず、計画が大幅に遅延。最近は電気自動車(BEV)の販売低迷を受け
電池需要が鈍っていることから、経営資源を当面、中核事業のセルに絞り込み、他の
事業は棚上げ、停止、合弁化する意向を9月に表明していた。
破産法11条の適用により、ノースボルトは総額2億4,500万ドルの新規資金調達が可能
となる。これには要顧客であるVWのスウェーデン商用車子会社、スカニアかの特別融
資1億ドルが含まれる。
ノースボルトがドイツ北部のハイデで建設中のセル工場は破産法11条の適用対象と
なっていない。同社はハイデ工場を「ノースボルトの戦略的支柱であり、そうであり
続ける」としている。同工場は総コストが45億ユーロで、そのうち9億ユーロを国と
地元シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州の補助金で賄う計画となっている。